Re:ゼロから始める異世界生活(通称リゼロ)の亜人戦争について、主な戦いとルグニカ王国側、亜人側の登場人物について解説をしていきます。
亜人戦争では、ヴィルヘルムとテレシアの出会い、短編にも登場したグリムとキャロル、賢人会の一人であるボルドーの過去などが描かれています。
本編にも頻繁に登場する亜人戦争の概要が知りたい方におすすめです。なお、リゼロEX2巻、3巻で亜人戦争が詳しく語られていますので、ぜひご覧になってください。
『リゼロ』亜人戦争の概要
期間 | 9年間 |
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事の発端 | ・ヴォラキア帝国の国境沿いを亜人族の商人団が通っていた ・ルグニカ王国の国境警備隊が密輸の疑いをかける ・国境警備隊と商人団が激突し、商人団が壊滅 ・各地の亜人族が蜂起 |
遠因 | ・400年前の嫉妬の魔女による災厄以来の亜人蔑視 |
主な戦い | ・第一次カスツール平原攻防戦 ・アイヒア湿地帯攻防戦 ・ルグニカ王城血戦 ・トリアス領攻防戦 |
『リゼロ』亜人戦争の主な戦いと登場した場所
1.レドナス台地の戦い
「レドナス台地の戦い」の戦いは、ヴィルヘルム、グリム・ファウゼン、トルタ・ウィズリーの初陣となった戦いです。この戦いの時点で亜人戦争が勃発してから2年が経過していました。
戦いは乱戦に発展し、英雄願望を抱いて参戦したグリムはそこで現実を知ります。
また、ヴィルヘルムは若干十五歳ながら獅子奮迅の活躍を見せ、論功式で表彰され、華々しい初陣を飾りました。
2-1.第一次カスツール平原攻防戦
ヴィルヘルムがグリム、トルタの所属していた小隊に編入された後、カスツール平原の戦いへと向かいます。
レドナス台地の戦いの苦戦が嘘のように順調に進軍した王国軍でしたが、バルガ・クロムウェル、スピンクスによる大規模魔法術式の罠にはまり、王国軍は壊滅状態となってしまいました。
小隊と離れ、前進したヴィルヘルムとグリムだけが唯一小隊の中で生き残り、トルタはここで脱落します。
2-2.カスツール平原視察
ヴィルヘルム、グリムは『猛犬』ボルドーが率いるツェルゲフ隊に編入し、魔法術式の調査を命じられた宮廷魔術師「ロズワール・J・メイザース」とその護衛キャロル・レメンディスに同行し、王都から竜車で8時間程度の場所にあるカスツール平原へと再度向かうことになります。
ロズワールが魔法術式を見て王国の危機を理解した後、屍兵となった王国軍・トルタ、魔女スピンクスとの戦闘になります。
スピンクスが浮遊魔法で撤退した後、数の力に押し込まれますが、グリムがかつての友人トルタの屍兵を討ち取り、窮地を脱しました。
3.シャムロック渓谷
王国南東部に位置する渓谷の洞窟は、不吉を強調する邪霧で覆われており、魔女スピンクスの隠れ家の一つとなっていました。
ここで亜人族陣営の大幹部の三人、「魔女」スピンクス、「大参謀」バルガ・クロムウェル、「毒蛇」リブレ・フエルミが一堂に会します。
リブレは、カスツールで相手側に大量の犠牲者を出したこと、屍兵を用いたことに言及し、戦争を泥沼化させる気かと二人に怒ります。しかし、バルガは燃え盛る恨みを吐露し、本気で相手を根絶しようと息巻き、二人は並行線のまま分かれてしまいました。
スピンクスは次の打ち手をバルガに相談し、バルガは次の策略を提示します。
4.アイヒア湿地帯攻防戦
カスツール平原の戦いから二年後、王国軍は魔法術式への対応方法を確立しており、戦線を有利に進めていました。ヴォラキア帝国の国境付近のアイヒア湿地帯に、亜人族陣営の大幹部三人が集結しているとの情報を受け、カスツール以来の大規模攻勢を仕掛けます。
順調に術式を破壊しながら進軍する王国軍でしたが、またもバルガの策略にハマり、術式を破壊することで発動する術式によって、壊滅的な被害を受けてしまいました。
ツェルゲフ隊も、九割近くの隊士が命を落とし、副官ピボットも敗北、グリムはリブレによって声を失ってしまいます。
また、亜人族陣営にも動きがあり、リブレがスピンクスの奇襲に遭い、「不死王の秘蹟」によって屍兵となってしまいました。
5.ルグニカ王城血戦
壊滅的な被害による大規模な編成見直しが行われる中、王国各地で亜人族による火の手が上がり、各部隊は王都を離れ、各地を守護しにいきます。
ツェルゲフ隊は王都に残留していましたが、王都への奇襲があると察知し、王城へと向かいます。そこでロズワール、キャロルも加わり、スピンクス、バルガ、リブレの大幹部三人との激しい激突が始まりました。
バルガが「巨人族の始祖の骨片」と「不死王の秘蹟」によってさらに巨大化するなど、王国陣営は追い詰められましたが、ボルドーがリブレを撃破、ロズワール・キャロル・グリムがリブレを撃破、ヴィルヘルムがバルガを撃破し、勝利を修めます。
しかし、バルガは地下深くに落ちた後は姿が確認されておらず、リブレはライプ・バーリエルに拾われ、匿われていました。
6.トリアス領の戦い
大幹部三人が敗北した後、亜人族はかろうじて抑えられていた感情が爆発し、各地で感情に任せた激しい進軍が繰り返されます。
騎士となったヴィルヘルムでしたが、ロズワールにトリアス領に亜人族の進軍があることを知らされると、騎士の称号も全て捨て、単身トリアス領へと向かいます。しかし、既に領地は火に包まれ、守りたいと願った家族の住む城も焼け落ちた後でした。
数百人を撃破したヴィルヘルムですが、多勢に無勢で膝をつきます。終わる寂寥感に生を望んだ瞬間、当代の剣聖テレシアが現れ、戦況を一変させました。
この戦いが「剣聖」の正式な初陣とされ、剣聖の活躍によって二年後、亜人戦争は終結となります。
ヴィルヘルムは、トリアス領の戦いの後、姿を消しました。
7.終戦記念式典の戦い
国王ジオニス・ルグニカと亜人族の代表クラグレルの会合によって亜人戦争は終結となり、王都では記念式典が開催されます。
英雄『剣聖』テレシア・ヴァン・アストレアの論功式に差し掛かると、フードを被った男が押し入り、テレシアと戦いを始めます。
戦いは男の勝利で終わり、剣聖を下したヴィルヘルムは、剣神からテレシアを奪い取り、自分がテレシアの代わりに剣を振ると宣言します。二人は結ばれ、物語は「剣鬼恋歌」として歌い継がれていきました。
『リゼロ』亜人戦争の主な登場人物と活躍
ルグニカ王国側の主な登場人物
ヴィルヘルム・トリアス
ヴィルヘルム・トリアスは、ルグニカ王国の北方辺境にある没落貴族の三男。亜人戦争が勃発すると身分を隠して王国軍に参戦、敵味方共に「剣鬼」と恐れられた。テレシアとの出会いにより精神的に成長、亜人戦争大幹部撃墜まで奮闘するも、トリアス領襲撃を経てテレシアの正体を知ると無断で戦線離脱となる。
剣聖テレシア参戦によって亜人戦争が終結すると終戦記念式典に現れてテレシアと決闘、剣神からテレシアを奪い妻にし、ルグニカ王国に残る詩「剣鬼恋歌」の主人公となった。
グリム・ファウゼン
グリムはフルールの宿屋の息子。亜人戦争を通じてヴィルヘルムと出会い、剣鬼の相棒となる。剣聖テレシアに仕えるキャロルと恋仲になり、生き残るために「盾」の使い方を学んだ。
ボルドー・ツェルゲフ
ボルドー・ツェルゲフは、亜人戦争における王国軍の主力部隊ツェルゲフ隊を率いた男。「戦斧」と呼ばれる強靭な男で、ヴィルヘルムやグリム、ピボットを率いて王国を縦横無尽に駆け回り、最後は参戦した剣聖テレシアと共に亜人戦争を終結に導いた。功績を称えられルグニカ王国の上層部に入り、後に賢人会の重鎮となる。
ピボット・アーナンシー
ピボット・アーナンシーは初期ツェルゲフ隊の副隊長。亜人戦争が進みヴィルヘルム、グリムが入隊すると優しく成長を見守り続けた。激戦となったアイヒア湿地帯攻防戦では、敵の罠にハマり窮地に陥ったツェルゲフ隊において、王国の希望となるヴィルヘルムを身を挺して守り命を落とした。
ロズワール・J・メイザース
ロズワール・J・メイザースは亜人戦争時代の当代の女ロズワール。魔法顧問として参陣したが、魔力の一切を持たず、肉弾戦において強力な力を擁した。尊敬するエキドナの残した負の遺産、魔女スピンクスを撃退することを本当の目的としており、ルグニカ王城血戦で見事に追い込んだが、ライプ・バーリエルによって逃されてしまう。
テレシア・ヴァン・アストレア
亜人戦争時代のルグニカ王国の剣聖。「剣聖の加護」と「死神の加護」を持ち剣神に愛される圧倒的な武力を持つも、本人は花を愛でる心優しい少女であり、戦うことができずに次々に家族を失ってしまう。迷っていた時期にヴィルヘルムと出会い恋に落ちると、ヴィルヘルムのように「誰かを守るために戦う」と自らが剣を抜く理由を見つけた。
トリアス領の戦いでヴィルヘルムに正体を知られると何も言わずに去られてしまうが、亜人戦争の終戦記念式典に現れ、自らの剣を折って奪い取られて結婚、ルグニカに歌い継がれる「剣鬼恋歌」のヒロインとなった。
キャロル・レメンディス
キャロル・レメンディスは剣聖テレシアの従者。レメンディス家の剣士であり、当初は戦場に出られないテレシアに代わり、ロズワールの護衛など多くの任務をこなした。ロズワールには本当の名前を教わるほどに深い友人関係を築き、グリムとは亜人戦争の中で恋仲となり、剣鬼恋譚、剣鬼戦歌を経てグリムが一代貴族となり退役すると結婚した。
マイクロトフ・マクマホン
マイクロトフ・マクマホンは、当時のルグニカ国王ジオニスに重宝されていた若き上層部の一人です。ロズワールの魔法顧問就任、ルグニカ王城血戦後のバルガ・クロムウェルの保護など重要な動きを見せ、終戦後はヴィルヘルムのルグニカ王国軍復帰と近衛騎士団団長就任では後押ししました。
ジオニス・ルグニカ
ジオニス・ルグニカは、亜人戦争時代のルグニカ国王です。人の良さが凄まじく、ルグニカ王城を狙ったバルガを匿い、マイクロトフに保護を命じるなどしています。亜人戦争後の剣鬼戦歌では神龍ボルカニカを召喚、邪竜バルグレンを追い払う活躍をしました。
コンウッド・メラハウ
コンウッド・メラハウは古参のツェルゲフ隊隊員。グリムが副隊長を降りた後は近衛騎士団副団長として長くヴィルヘルムを支え、テレシアの白鯨大征伐にも参陣、龍剣アストレアをヴィルヘルムに届けた。王国軍を引退すると平民街に酒場を開き、スバルも参加した白鯨討伐戦が行われるとヴィルヘルムの呼びかけに応じて一部隊を率いた。
トルタ・ウィズリー
トルタ・ウィズリーは亜人戦争の王国軍の兵士。グリムと仲良くなり初戦を見事な活躍で飾ったが、第一次コスツール平原の戦いでバルガの仕掛けた大規模魔法陣の罠にハマって命を落とし、魔女スピンクスの不死王の秘蹟によって屍兵となった。最後は盟友グリムの手によって散る。
ラザック・ギルダーク
ラザック・ギルダークは亜人戦争において王国軍の教導隊を務めた正騎士。序盤はグリムやトルタ、ヴィルヘルムなど新兵を軍隊に組み込む前に指導する立場にあったが、王国軍戦力が削られてからは部隊を率いて前線にも立った。亜人戦争後は商業都市ピックタットで後に王家指南役となるラチンスの父、リッケルトを助けて命を落とした。息子は後に近衛騎士団団長となるマーコス・ギルダーク。
ライプ・バーリエル
ライプ・バーリエルはルグニカ王国の新参貴族。実力があり、アイヒア湿地帯攻防戦では軍団長を務めたが、壊滅的な被害を受けたことで責任を取らされ閑職に追い込まれる。ルグニカ王城血戦では地下水路で魔女スピンクスと出会い、その力を利用するために匿いバーリエル領に連れ帰った。
亜人側の主な登場人物
『魔女』スピンクス
『魔女』スピンクスは亜人側の大幹部の一人。エキドナから人格を削ぎ落として魔女の力だけを器に注がれた存在であり、自らの不完全さを完全にするため、観察を求めて亜人戦争を引き起こした。バルガが授けた大規模魔法陣、不死王の秘蹟、魔法攻撃などルグニカ側に最も甚大な被害をもたらし「魔女」と恐れられる。
ルグニカ王城血戦では、ロズワールやキャロル、グリム、そして不死王の秘蹟で操っていたリブレによる攻撃を受けると地下水路に逃げ込み、偶然出会ったライプ・バーリエルに取引を持ちかけて生存した。
『大参謀』バルガ・クロムウェル
『大参謀』バルガ・クロムウェルは、亜人側の大幹部の一人。亜人蔑視の風潮が残るルグニカへの積年の恨みを果たすために亜人戦争を勃発させ、その智略と計略によりルグニカ王国側に大規模被害をもたらした。
ルグニカ王城血戦では巨人族の始祖の力を不死王の秘蹟の力によって借りて戦うもヴィルヘルムに敗北、瀕死の状態で地下水路に落ちた所をルグニカ国王ジオニスに助けられ、マイクロトフの居城に匿われた。
『毒蛇』リブレ・フエルミ
『毒蛇』リブレ・フエルミは、亜人陣営の大幹部の一人であり最強の剣士。リブレを旗印に亜人族が団結し、亜人陣営として立ち上がった。好戦的なスピンクス、バルガに反して冷静さを保っていたが、それが原因でスピンクスに裏切られ不死王の秘蹟で屍兵となる。
ルグニカ王城血戦ではボルドーに敗北し、正気を取り戻した一瞬でスピンクスに深手を与え灰となった。
クラグレル
クラグレルは、ルグニカ王城血戦で大幹部の三人が消えた後、亜人族陣営の代表となった人物。リブレの友人であり、遺言で代表を務める様に託されていた。終戦記念式典にも参列し、後にロズワールとの交渉で魔女スピンクスの隠れ家の居場所を打ち明ける。